初めての家づくりに際して、一級建築士の資格を持つ業界経験豊富な住宅コンサルタントが、注文住宅の新築・中古の戸建て住宅・中古マンションの購入時のご相談へのアドバイス、住宅検査・住宅診断(ホームインスペクション)、耐震診断等を提供します(東京・埼玉・千葉・神奈川等)。

建築工法についてのお勉強

工法で選ぶ?

木造住宅

 ・在来軸組工法

 ・枠組壁工法(2×4)

 ・SE工法

 ・木質プレハブ工法

鉄骨住宅

 ・軽量鉄骨工法

 ・重量鉄骨工法

 

上記工法について判りやすく解説します。

●在来軸組工法   (住友林業他多数)

いわゆる日本古来の工法で柱と梁と筋交で構成される家です。日本の大工さんはほとんどこの工法を手掛けます。また過去の震災で最も多く被害がでた工法と言えます。

1981年に耐震基準が改められ新耐震と言われる仕様になりましたが、1995年の阪神淡路大震災で倒壊し多くの人命が失われたことから2000年に再び耐震基準をより厳しいものに変えました。柱頭、柱脚、筋交いなどに金物を使い、耐力壁の配置をバランス良くすることで以前よりは耐震性能が上がりましたが本質的に耐震性の高くなる建て方ではありません。

最近は耐震性を上げるため2×4のように外部に合板を張る工法に変わってきています。

日本中に大工さんがたくさんいて、コストダウンの最もし易い工法とも言えます。

但し、3階建てはお薦めしません。

●枠組壁工法(三井ホーム、住友不動産、三菱地所ホーム)

 いわゆる2×4と言われる工法で、40年くらい前にアメリカから上陸した工法です。当初からその厳格な設計ルールや施工マニュアルも同時に上陸したため、国は詳細な設計、施工指針を制定しています。日本ではなぜか3大財閥と言われる企業がこの工法を採用しています。

誰が建ててもその性能に大きな違いがない工法と言えます。過去に大震災によって失われた人命はほぼありません。

他に2×6という縦枠材を幅広くした工法もあり厚い断熱材が入ることでエネルギーコストが抑えられ北海道では多く採用されています。

東京都では昭和56年5月以前に建てられた2階建木造の建替えに補助金を支給する区がありますが2×4の家はほぼいただけません。古くても倒壊しないからです。

●SE工法(住友林業ビッグフレーム他多数)

在来軸組工法を集成材によって進化させた比較的新しい木造の工法です。在来工法の弱点である柱と梁の継手に特殊な金物を使い重量鉄骨造のような大空間を作れることを売りにしています。在来工法よりどうしてもコスト高になりますが構造計算に馴染みやすい工法で耐震的には強化されており3階建の建物に需要が多いようです。

●木質プレハブ工法(ミサワホーム)

 2×4と同じく壁工法の仲間です。あらかじめ工場で壁パネルを生産し現場に搬入して組み立てる工法なので工期は短くなります。

木造とは言っても型式適合認定住宅なので、後で増改築をしたくても大工さんには頼めません。ミサワさんにお願いするしかありません。

●軽量鉄骨工法 (パナホーム、トヨタホーム、ダイワホーム)

薄い鋼板を曲げて強度を持たせブレースと呼ばれる筋交いで強度を保つ工法で、プレハブ住宅の初期からありました。ただ税法上の耐用年数が19年と木造より短く火災に弱いと言われています。

また静粛性、断熱性、気密性に問題があるともいわれており私はお薦めいたしません。間取変更などの増改築も困難です。

3階建てを建てると、地震や大型車の通行で3階がかなり揺れるようです。

●重量鉄骨工法 (積水H、パナH、ヘーベルH)

柱と梁が剛接合(動かない)された工法で耐震強度を壁に頼りません。したがって大きな空間や開口部が作れるので大きなビルトイン車庫を持つ4階建てなど、木造では厳しい建物が建築できます。欠点は室内に柱型という飛び出しができることと、やはり断熱、気密性に問題があります。また価格がかなり高くなります。

ハウスメーカーでなくても重量鉄骨を専門とする工務店もあります。内部に構造体が少ないので大工さんによるリフォームも容易です。

 

各種工法評価

  価格 耐震性 省エネ性 耐久性 設計自由度

在来軸組工法

2×4工法

木質プレハブ工法
軽量鉄骨工法
SE工法 ×
重量鉄骨工法 ×

あくまでも当事務所の見解に基づいております。

代表のつぶやき

日本には各地に大工さんがいて、みんな伝統的な在来軸組工法と言われる家を建ててきました。もともと構造計算に馴染まない工法で国は大震災で人が亡くなるたびにその技術指針をチョコチョコと手直ししてきました。本当のことを言えない辛さはよく判りますが、人命が犠牲になってはいけないのでは。